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執筆者の写真みそら薬局

全国どこの処方せんも元気に受付中の流山おおたかの森にあるみそら薬局から低血糖について


低血糖症

ていけっとうしょう

〔内科〕

原因/症状

 血液中のブドウ糖の濃度を示す血糖値は、正常の場合、空腹時に70~110mg/dlに保たれています。この値は糖尿病にかかっていない人ならば、食前も食後も大きな変化はありません。しかし、何らかの理由で血糖値が正常よりも低い値( 50mg/dl以下)になると、さまざまな神経症状や精神症状が出てきます。これを低血糖症といいます。低血糖症を放置すると、脳細胞にダメージが及び、生命の危険や脳の機能障害が残ることもあります。脳細胞は他の組織と異なり、ブドウ糖だけをエネルギー源として消費するため、脳細胞に十分な量のブドウ糖がいきわたらなくなると、脳細胞が壊死していくからです。早期発見すれば、簡単な処置で症状が改善されます。

 低血糖が起こる原因のひとつとして、インスリンや経口血糖降下剤の投与される量と回数が、必要以上に多くなることが挙げられます。それぞれの量と回数を守っても、他に服用している薬やアルコールなどの影響で低血糖症を引き起こすことがあります。同様に、インスリンや経口血糖降下剤を投与されている場合、食事量が極端に減ることや食事時間が遅れることも発症の原因になります。運動をしすぎたり、アルコールを飲み過ぎたとき、あるいは下痢などをして体力が低下しているために起こることもあります。

 他にインスリノーマというインスリンを産生する膵臓の腫瘍や、副腎不全、大きな悪性腫瘍などが原因にしられている。

 低血糖症は、急速に血糖が低下したときに起こる症状(交感神経系の自律神経症状)と、低下が持続したときの症状(中枢神経症状)の2つに分けられます。

 血糖値が急速に低下すると、発汗、手足のふるえ、動悸、不安感、脱力感、強い空腹感に襲われるようになります。はっきりした症状なので分かりやすいものです。

 血糖値がさらに低下して現れる症状には、頭痛、ものが二重に見える、視力低下、精神錯乱、おかしな行動、痙攣、昏睡などがあります。手遅れになると、死亡することさえあります。長時間の昏睡の後に回復しても、脳の機能が戻らず、植物状態になる可能性もあります。

検査・診断/治療

 低血糖症の診断は、血糖値が空腹時に60 mg/dl以下、72時間絶食したときの値で男性なら55 mg/dl以下、女性なら45 mg/dl以下とされています。

 血糖値を測定して、少なくともこれらの数値よりも上であったならば、低血糖症以外の原因も考慮しておく必要があります。アルコール、βブロッカー、サリチル酸製剤などは低血糖症を引き起こす薬剤なので、服用している薬がある場合は医師に伝えるべきです。

 重症の低血糖症の判定は、血糖値と症状によって行われます。薬物治療中の糖尿病患者の場合、軽い程度の低血糖症は、飴や砂糖を摂取するなどすれば、自分の力で低血糖症から回復することができます。しかし、意識障害を伴うような重度の低血糖症になってしまうと、放置すれば死亡してしまいます。

 昏睡状態になってしまうと、自分で病歴を伝えることができないため、合併症が見逃される可能性があり、危険です。

 軽度の低血糖症であれば、ブドウ糖を含む食べ物を直接口からとって症状を軽減させます。ブドウ糖に換算すると15グラム程度が摂取量としては望ましいとされています。なるべく早い段階で食事をとれば症状は回復します。しかし、精神症状や中枢神経症状がある場合は口から食事をとることが難しいので、そのときは、できるだけ早くブドウ糖を静脈内に投与することが必要になります。

 低血糖症による昏睡が疑われるときには、血糖値の数値の結果を待つことなく、ブドウ糖の静脈内注射が望ましいとされています。投与量としては、注射用50%ブドウ糖液20mlアンプルを2本静脈注射します。それでも意識が回復しないならば、さらに追加することになります。

 昏睡状態になってから入院治療を受けて意識が回復しても、すぐには帰宅できません。血糖値と全身状態の安定が得られるまでは、入院して様子をみることになります。


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